columnコラム

ドメイン貸しの旨い話に要注意下さい。

先日、お客様である病院の院長先生から、
こんなご相談をいただきました。

「ホームページの一部を貸してくれたら、収益の一部を還元します、
という提案が来たんだけど、どう思う?」

いわゆる「ドメイン貸し」というものです。
以前からある手法なのですが、
最近また、こういった話を耳にするようになりました。

院長先生も、お話を聞く限りではけっこう前向きなご様子。
確かに、記事は業者さんが作ってくれて、
収益も入るのであれば、悪い話には聞こえませんよね。

ただ、提案内容と契約書を拝見すると、
「これは、ちょっと待った方が良いかもしれません」
とお伝えしたくなる内容でした汗。

今日は、この「ドメイン貸し」について、
ホームページを運営する側として気をつけておきたいことを
書いてみようと思います。

そもそも「ドメイン貸し」とは?

簡単にいうと、自社のホームページの一部を、
別の業者さんに使ってもらう仕組みです。

例えば、自社サイトのアドレスが「example.com」だった場合、
その下に「example.com/media/」という場所を作り、
業者さんがコラムや商品紹介の記事を掲載していきます。

そこで広告収益などが発生したら、
その一部をサイトの持ち主に還元する。
ざっくりいうと、そういう感じです。

今回の提案では、記事の制作や運用は業者さんが担当し、
病院側は「監修」という立場で内容を確認する形になっていました。

「記事を書かなくても、ホームページから収益が入る」

そう聞くと魅力的ですが、
そもそも、業者さんはなぜ自分のサイトでやらないのでしょうか。

ここを考えてみると、この話の気になる部分が見えてきます。

業者さんが借りたいのは、サイトが積み上げてきた評価

新しくサイトを作って、検索から人を集められるようにするには、時間も手間もかかります。

そこで、すでに運営されているサイトの一部を借りて、
そのサイトが積み上げてきた検索上の評価を利用しようとするわけです。

病院やクリニックの名前が付いていれば、
読む人にも「医療機関が発信している情報なんだな」と受け取られやすいでしょう。

ただし、病院のサイトだからといって、
どんな記事でもGoogleに高く評価されるわけではありません。

大事なのは、単に記事を置く場所を貸しているだけではない、ということです。
その記事には、自分たちの病院や会社の名前も付いて回ります。

自社の看板の下で、別の業者さんに商売をしてもらう。
そう考えると、少し見え方が変わってくるのではないでしょうか。

「監修しているから大丈夫」とは限りません

ここで気をつけたいのが、Googleの「サイトの評判の不正使用」というルールです。

もちろん、記事の制作を外部のライターさんにお願いすること自体は、問題ありません。
自社のお客様に役立つ記事を作るために、専門家の力を借りることは普通にあります。

問題になるのは、掲載先のサイトが積み上げてきた検索上の評価を利用して、
外部業者のコンテンツの検索順位を不正に操作しようとする場合です。

今回のような提案でも、なぜ病院のサイトに記事を載せる必要があるのか。
患者さんに必要な情報を届けるためなのか、
病院サイトの評価を借りて、業者さんの広告記事を上位表示させるためなのか。
説明だけでなく、実際の記事の内容や運用の仕組みまで確認しておきたいところです。

そして、こうした不正な運用に当たる場合、
病院側が記事をチェックしたり、監修者として名前を載せたりしても、
それだけで問題が解消されるわけではありません。

Googleも2024年11月19日の公式記事で、次のように説明しています。

ファースト パーティの関与やコンテンツの監視の有無にかかわらず

このあとに、掲載先のサイトの検索上の評価を利用する目的で、
第三者のコンテンツを使用することは、ポリシー違反になると説明しています。

ここでいう「ファースト パーティ」は、サイトの運営者のことです。
つまり、運営者が関わったり、内容を確認したりしていることだけでは、
違反を免れる理由にはならない、ということですね。

ですので、
「先生に監修していただくので大丈夫です」
という説明だけでは、安心できないんです。

参考:Google 検索セントラル「サイトの評判の不正使用に関するポリシーの更新」

収益が入っても、本業に影響が出てしまったら

Googleのスパムポリシーに違反すると、検索順位が下がったり、
検索結果に表示されなくなったりする可能性があります。

必ずサイト全体が検索から消える、という話ではありません。
影響の範囲は、違反の内容や実際に行われる対策によって異なります。

参考:Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー

ホームページは、本来のお客様や患者さんに見つけてもらうための大事な窓口です。

そこに別の収益源を作った結果、本業の集客に支障が出るようでは、
何のためのホームページなのか分からなくなってしまいます。

私としては、いただける収益だけでなく、
「何かあったときに、何を失う可能性があるのか」
まで考えて判断していただきたいです。

契約書にも、気になる点が・・・

今回の提案では、運用の仕組みだけでなく、契約の条件も気になりました。

私は法律の専門家ではありませんが、
サイト運営をお手伝いする立場として、確認しておきたいと感じた点をご紹介します。
なお、数字などは特定を避けるために一般化しています。

何かあったときの補償が、かなり限られている

損害が出た場合の賠償額の上限が、
「直近3ヶ月分の還元金」まで、と読める条項がありました。

もともと受け取るのは、広告収益の一部です。
その金額を基準にした補償で、本業への影響までカバーできるのか。

ここは、契約前によく確認しておきたいところです。

何も言わないと、記事を承認したことになる

記事の確認についても、
14日以内に修正を求めなければ、内容を了承したとみなす、
という趣旨の条項がありました。

忙しくて確認できなかったとしても、承認した扱いになる。
記事が増えていけば、それだけ確認の手間も増えます。

「業者さんが全部やってくれる」と思っていたら、
実は自分たちにも、継続して対応する仕事があるわけです汗。

受け取る収益と、引き受ける責任が見合っているか

今回の条件では、病院側も監修者として内容の責任を求められる一方、
受け取るのは収益の一部、という形でした。

もちろん、業者さんにも記事を作る手間や費用はかかります。
ただ、自社が引き受ける責任やサイトへの影響まで含めると、
この条件で良いのだろうか、と考えてしまいました。

やめるタイミングにも条件がある

契約終了の1ヶ月前までに連絡しないと、
さらに1年間、自動で更新されるという条項もありました。

自動更新自体は珍しくありませんが、
やめたいと思ったときに、すぐやめられるとは限らないということです。

契約の内容や責任の範囲については、
顧問弁護士の先生などにも確認していただくのが良いかと思います。

良い話に聞こえたときほど、一度確認を

こういった提案を受けたときは、少なくとも次の点は確認しておきたいです。

  • なぜ、業者さん自身のサイトではなく、自社サイトを使う必要があるのか
  • Googleのポリシーに沿った運用になっているか
  • 自社には、どの程度の確認作業や責任があるのか
  • 問題が起きた場合、誰が対応し、どこまで補償するのか
  • 契約を終了する条件はどうなっているか

「収益が入ります」と言われると、どうしてもそこに目が向きます。
私も、良い話なら詳しく聞いてみたくなる気持ちは分かります笑。

ただ、長く運営してきたホームページを使う話ですので、
その場で決めず、制作会社や契約の専門家にも相談していただければと思います。

自社のホームページが、何のためにあるのか。
今回のお話は、そこに立ち返って考えていただくのが良いのではないでしょうか。

まあ、長々書きましたが、一言で言うならば

「うまい話には、気をつけて」

ということですね笑。

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